6月18日 Orbray

Orbray株式会社が描く「技術」と「ものづくり」の未来

半導体・エレクトロニクス業界の最前線で活躍されているOrbray株式会社の並木里也子社長、ならびにダイヤモンド事業部の斎藤様をお招きし、1年次生を対象にした講義を行ってもらいました。人事の方をはじめ、総勢7名の方々が秋田大学にお見えになりました。講演の中で語られたOrbray社の歩みと、次世代半導体として注目を集めるダイヤモンド基板の技術について紹介しました。

並木社長が語る「Orbrayの挑戦」:変革と決断の歴史
並木社長の講演は、1939年の創業以来、脈々と受け継がれてきた同社のものづくりへの姿勢、そして未来への展望を辿るものでした。

「ものづくり」の伝統と社名変更の決断
Orbrayは、並木精密宝石として長年培った加工技術を核として成長してきました。並木社長は、現在の社名である「Orbray(オーブレイ)」に込めた想いを語りました。「Orb」=球体、「Ray」=光という二つの言葉を繋ぎ合わせた社名には、私たちが持つ光り輝く技術を世界に発信するという強い意志が込められています。しかし、この社名の変更は単なる改称ではなく、伝統を守りつつも、激変する世界市場に対応していくための「自己変革」の象徴でもありました。

3人の母として、経営者として
並木社長の話において、特筆すべきは「人」を大切にする経営スタイルです。3人の子育てを行いながらの経営という、極めて困難な環境下において、秋田への移転・工場設立を断行しました。これは単なる生産拠点の拡大ではなく、社員一人ひとりが家族のように長く安心して働ける環境を、この秋田の地で創り上げるという強い決意によるものです。並木社長は、いかにして社員とともに困難を乗り越え、技術を継承してきたかを実体験に基づき語られました。

ダイヤモンド事業部・斎藤様が解説する「究極の基板」
続いて、同社のダイヤモンド事業を牽引する斎藤様より、現在、世界的な注目を集めている「ダイヤモンド基板」についての詳細な技術解説が行われました。

なぜ、ダイヤモンドが選ばれるのか
ダイヤモンドが「究極の半導体材料」と呼ばれるゆえんを、その物理特性から解説していただきました。特筆すべきは、他の半導体材料を圧倒する「熱伝導率」です。近年のAI半導体や高出力のパワーデバイスにおいては、動作時に発生する「熱」の処理が最大の課題となります。ダイヤモンドは熱に非常に強く、デバイスの性能を限界まで引き出すための基板材料として、他にはない優位性を持っています。

宝飾技術から産業の基盤へ
同社の歴史は、元来、精密加工技術を要する宝飾用のダイヤモンド研磨から始まっています。斎藤様は、かつて時計の部品などの小さなパーツを扱っていた技術が、今や通信インフラや高度な産業用デバイスを支える「ダイヤモンド基板」として進化を遂げた過程を説明しました。まさに「磨き上げる技術」というルーツが、次世代の電子社会を支える不可欠なインフラとなっているのです。

アカデミアと産業界が共に描く未来
並木社長が掲げる、失敗を恐れずに挑戦し続ける姿勢。そして、斎藤様が語った、素材の限界を技術力で突破し、社会に価値を還元する執念。この両者の共通項は、「東北・秋田から世界水準のイノベーションを起こす」という強い志です。

学生たちが、この企業姿勢から学ぶべきことは大きいです。専門知識を学ぶ学生たちにとっても、地元にこのような世界を牽引する企業が存在し、技術を社会へ実装しているという事実は、将来を切り拓く大きな糧となります。

今回、講義「秋田から考える東北半導体・エレクトロニクス」を開設した私にとって、Orbray株式会社様のような先進企業と連携をより一層深め、教育・研究の双方から未来の産業を支える人材を育成し、秋田発の技術で世界を豊かにしていくことは、大学人に課された使命であると強く実感しました。

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